爪まで彩色した自然な指先
殿の笏(しゃく)を持つ右手と自然に握った左手の写真(上段)、姫の檜扇を両手に持つ写真(下段)をご覧ください。わかりやすいように持ち物ははずしてあります。
高貴な人はめったに肌を見せないために、殿の左手は自然に袖を握るようなしぐさになります。
人形処橋本屋のおひな様は、デッサンに基づいた理想の形を追求していますから手の大きさも作品一つ一つに合っております。指先の形や爪の形、爪の色や握ったときにできるしわも限りなく人の手に近づけて表現されています。
最高級品には「指の関節のしわ」まで作りこみ、古来より日本の伝統的な笏の持ち方である、小指を笏の後ろにして持つ「式正笏法の手」を採用しています。
一般的には既製の部品の手を使います。下の写真のように、殿の左手は姫の左手と兼用するため不自然に指を伸ばしたままになっています。