最近の飾り方の傾向

お雛様の飾り方の最近の傾向をグラフにしてみました。

ひな人形の飾り方を大きく分けると衣裳着人形では、男雛と女雛の一対で飾る「親王飾り」と、三人官女を加えて五人で飾る「五人飾り」、そして十五人全員で飾る「七段十五人飾り」の三種類があります。衣裳着人形の三種類と木目込人形(木目込人形は五人飾りや15人飾りも含みます)の四種類に分けると、表のように、

十五人飾りや五人飾りの割合が減り、令和5年度のデータでは親王飾りと木目込飾りの割合が90%以上と増えています。(上の表は当店だけの資料ですが全国的な傾向でしょう)

昭和40年代以降・平成元年頃まではひな人形といえば「七段15人飾り」が主流でした。大きな田舎の家はもちろん、街中の狭いアパートでも「七段飾り」を飾ったものです。昔はお披露目的なことが購入理由の大きな部分を占めていたように思います。いきおい「見栄えの良いもの、大きなもの」をということで「七段飾り」に人気があったのです。当然大きくて重く道具の種類も多いですから飾り付けは親の仕事で、主役であるはずの子どもは触らせてもらえないし見るだけですからあまり愛着も湧きません。親は忙しさもありそのうち飾らなくなってしまったという話はよく耳にします。

しかし、時代はネット社会の令和へと移り、冠婚葬祭をはじめ儀礼的なものの中に変化が現れました。本来必要のない部分は省略され始めたのです。ひな人形も以前のように調度品を所狭しといっぱい飾ったり屏風や台を豪華な絵柄で埋めつくすようなセットはすでに時代が終わったと言っても過言ではないでしょう。。

親王二人をご両親に見立て、毎日の挨拶、手洗いなどの習慣、花器に草花を活けて自然の美を感じ取る感性を磨くこと、これらのこれからの人生において重要な事柄を小学校に上がるまでに(親子で楽しみながらお子様目線で遊びの中で)身に着ける教材として活用いただけます。シンプルな二人飾りなら毎年毎年ひな祭りには自ら飾ることも出来ます。成人し嫁ぐときもひな人形(見立てたご両親)と一緒です。遠く生家から離れて暮らしてもご両親への尊敬の念とご両親からの深い愛情を感じながら一生を共にする。「お子様のひな人形(お節句)への原点回帰」これが令和のひな人形です。

余白の美、「逸品飾り」とは

木目込人形の割合の変化があまりなく少しづつですが増えています。ひな人形には衣裳着人形と木目込人形の二種類があります。衣裳着人形は人間の姿に似せて作るひな人形で顔かたちや姿勢も写実的です。対して木目込人形はユニークな造形が特徴です。造形に似合うように線で表現された目も印象的です。その奥ゆかしくて控えめな中に技術が埋め込まれているのでお子様が成長しても味わい深く飽きの来ないところが一定の支持を受けているところだと思います。

いずれにしてもどういう飾りにするのかは、大事な事なので、飾られる方のライフスタイルに合った末長く飾れる飾り方を、ご家族でよくご相談されて決めていただきたいと思います。