編み目の美しさ

糸(組み紐)の編み目は、さながら魚のうろこが重なっているように、隣同士の糸の重なり具合がきれいです。幅が約1cmの組み紐を直径約3mmの穴に通して仕上げていますので穴の隙間が見えません。
編み目は鎧や兜の製作の基本であり、その綺麗さは職人の技術の見せ所です。その部分が美しいかどうかだけではなく、兜のしころ(後ろの部分)の形状に大きく影響を与えます。

組み紐を小札(こざね=金具)に通すときにどこかにつなぎ目ができます。一般品の多くは製作時間を短縮してコストを下げるために、目にすることのない裏側で組み紐を切断して糊付けがしてあります。たとえ裏側でもひっくり返せば見えるところですから、力石作品は写真下のようにつなぎ目がわからないように綺麗に処理しています。これは兜だけではなく、鎧の袖の裏側や草摺の裏側も同じです。こだわりの職人ならではの一流の仕事です。

力石作品はすべての作品において共吹返し(兜の後ろのしころの部分と左右の吹き返しが一体)となっています。したがって吹返しの裏も写真のように威糸で編んであり後ろから見た時もきれいです。他メーカーの一部はパーツの吹き返しを左右に取り付けていますので編み目が無く、強度もありません。

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