飾り方のご提案

美術工芸飾り

櫃(ひつ=鎧や兜を入れる入れ物)や弓太刀を置かず、甲冑そのものが持つ美しさを演出する飾り方です。

奉納鎧は一般的な節句飾りと異なり、面・小手・具足がありません。そこには、余分なものを一切排除した極限の美があります。

ケース飾り

美術工芸飾りは一年中飾っていただいてもかまいません。むしろ節句だけに出すのはもったいないくらいです。ただほこりが気になりますので、写真のような別売りケース(写真のケースは後ろ三面が鏡ですのでいっそうきれいに飾れます)に入れて一年中お飾りいただくのはどうでしょう。

大将ケース飾りの例

逸品飾り

今、お洒落な超コンパクト飾りとして注目されています。
生活空間にとけこむ飾り方、場所も選ばず収納もコンパクトに。あえて屏風を置かず余白の美を追究した飾り方です。

【逸品飾りとは】

五月人形を飾った時の美しさには『豪華絢爛の美』と『静寂・余白の美』の二種類があります。

豪華絢爛の美』とは、西洋の絵画で例えればルネッサンス以降多くの作品にみられる びっしりと画面を埋める技法が特徴であり、五月人形においては屏風や台にも装飾を施し外見的なインパクトを重視した飾り方です。三段飾りや装飾屏風飾り・収納箱飾りなどです。
静寂・余白の美』とは、物を豪華に増やして華やかに美しさを見せるのとは対照的に、あえて余白を残すことでそこにあるものを心で感じるという考え方です。見る人の数だけ見方が無限に存在し、豪華な飾り方とは一線を引く奥深さ、趣などを持たせる飾り方です。このページで紹介している逸品飾りがこちらにあたります。

逸品飾りには「想像の余地が残る」という魅力と「作品の核心部分をより印象的に見せる」という二つの魅力があります。

「白紙も模様のうちなれば心にてふさぐべし」江戸初期の絵師土佐光起の言葉です。
作品において不必要な描写を削ぎ落すことで白紙(余白)を作ります。その白紙さえ描写以上の描写とする、日本独特の感性を生かした技法を表現した言葉です。

「素を遺すという、あの墨絵の余白が、そのまま空になり、水になり、雪になる。あの神秘不可思議は東洋人のみ知る恍惚境だ。」日本画家、横山大観の言葉です。

余白の美、引き算省略の美には、茶道・俳句の世界でも表現されています。日本庭園には水を感じさせるために水を抜く「枯山水」などの例もあります。

「無」を作ることにより「無限」を表現する。まさに「静と動」の世界です。

逸品飾りとは、繊細かつ控えめでありながら、どこか筋が通った主張を感じる独特な空気感や趣が、余白の余裕とともに美を心に感じさせる飾り方です。奥深い本物の贅沢をご堪能ください。

兜逸品(省スペース)飾りの例

大将逸品(省スペース)飾りの例

屏風飾り

屏風付きでもシンプルでモダンな飾り方もございます。

収納箱飾り

屏風台にも装飾を施した豪華な飾りです。若干大きく重いですが下台に兜や鎧が収まります。