純金箔盛上彩色

一見刺繍のようにも見えますが江戸時代の嵯峨人形にも用いられた伝統の技法です。

1、粘り気のある胡粉(ごふん=胡粉とは牡蠣の貝殻の粉をにかわに混ぜた伝統的な素材です)を筆で高く(1mm位)盛り上げて輪郭を書きます。胡粉は白いので全体に白く輪郭が完成します。

2、輪郭に漆(うるし)を塗り、純金箔をのせます。漆を塗るときは輪郭以外のところにはみ出ないように気を遣います。漆は純金箔との接着剤になります。漆が乾いてしまうと接着剤としての役にたちません。また漆を塗ってすぐに金箔をのせると金箔が沈んできれいな金色が出ません。絶妙のタイミングで金箔を置かなくてはならないのです。つまり一気に漆を塗ることはできませんので技術だけではなく非常に時間のかかる仕事です。

3、金色に完成した輪郭の内側に絵の具で彩色します。ボディが完成してからの仕事ですので失敗は許されません。また非常に高度な技術と多くの時間を要しますのでこの技法を受け継ぐ職人は僅かであり、盛上彩色はごく一部の高級な人形だけに用いられています。純金箔は黒ずむことがありませんのでいつまでもきれいな金色を保ちます。

匠の技(一覧)


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