木目込人形の目の書き方

笹目型は墨の濃淡の線を何本も書くことによって黒目瞳を表現し、やさしさを出します。枠目型は黒目を薄い墨で、瞳を濃い墨で書き、目を縁取ることによって可愛らしさを強調します。作品により木目込人形の目の書き方はこの二種類がございます。

笹目

枠目

【木目込人形の目が書き目でなければならない理由】

江戸時代、京都賀茂川の近くで、柳の木を人の形に彫刻し、表面の溝に布を入れ込んで作られた、高さ数cmの加茂人形が始まりとされています。その加茂人形が江戸に伝わり、改良された人形が今日の「江戸木目込人形」のルーツと思われます。
作者は創造したい形をまずデッサンします。そのデッサンをもとに粘土で立体を作ります。幾度も試行錯誤しながら理想の形を完成させます。その形を人形にするには、木目込の技法でないと不可能です。一般的な衣裳着人形は、人が着物を着るように着せて手を曲げるのに対し、木目込人形は胴の内部は桐塑(桐の粉をのりで固めたもの)ですから、自由な形の表現が可能だからです。ボディの形と同様、顔の形も人形の種類によって異なります。当然、顔の形に合わせて目や口の表現も変わらなければなりません。木目込人形の目が、画一的なガラスの目でなく、種類によって違う目を書く「書き目」である理由もそこにあります。

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