ひな人形のしまい方
全般
ひな人形をおしまいになるときは、天気のよい(乾燥した)日に、埃をよくはたき湿気の無いところにおしまいください。人形は湿気を嫌います。大石美正をはじめ人形処橋本屋でお取り扱いしている職人仕上げのひな人形はすべて例外なく髪にスガ(正絹を黒く染めた糸)を使用しています(一般に多数売られているひな人形の髪は化学繊維でつるっとした光沢があります)。お顔の表面は胡粉(ごふん=牡蠣の殻を細かく粉にしてニカワで混ぜた白い素材)です。衣裳も正絹が多く使われています。つまり動物性のたんぱく質を多く含む伝統的な素材が多いため虫に喰われたりカビが生えやすいのです。ただし防虫剤の入れすぎや種類の違う防虫剤の混合使用はよくありません。お顔や衣裳の変色を招くこともあるからです。市販の防虫剤で十分ですので決められた使用量を守って(少なめでよいくらいです)湿気の来ない場所におしまいください。
梅雨明け頃に一度風に当てる(湿気を逃がす)と理想的ですが少なくとも一年に一度は必ず出しましょう(お節句の時に出しましょう)。一年出さない年があるとずっとしまいっぱなしになってしまう方が多いのです。
防虫剤の入れ方は人形を箱に収めたら蓋をする前に直接防虫剤が人形にあたらないようにティッシュなどの白い紙に包んで入れましょう。新聞紙など印刷された紙が直接人形に触れると印刷部が写る恐れがあるためです。防虫剤の量はおよその目安としては親王飾りで2個程度でよいでしょう。
お道具(持ち物)のしまい方
お道具を入れる箱に、写真上から、檜扇(ひおうぎ)、纓(えい=男雛の冠に差し込む部品)、笏(しゃく)、太刀を入れます。冠は人形に付けたままにしておきます。
木目込み人形の場合は扇や笏は人形に固定されていることが多く、また太刀は最初からありませんので、持ち物がある場合は箱ではなくビニール袋に入れることがほとんどです。
写真は一例です。人形によって持ち物の種類は色々あります。
人形の包み方
↓ここでは衣裳着ひな人形の例でご紹介いたします。木目込み人形もこのしまい方を参考になさってください。上段左から男雛の顔巻紙テープ、当て布、クッション材、下段左から女雛の顔巻紙テープ、当て布、クッション材です。
↓まず男雛の包み方です。冠は髪に付けたままです。顔や手の白いところは指紋が付きやすいので触れないようにしてください。
↓クッション材を顔の正面に当てて、当て布をその上から巻きます。この時、顔の前が厚くなるようにすると理想的です。クッション材・当て布ともティッシュペーパーで代用できます。
↓紙テープを巻きます。
↓後ろはこんな感じです。紙テープは結ぶか捩じって止めます。
↓包み布がある場合はこのように人形にかぶせます。
↓次に女雛を包みます。
↓男雛と同様に顔にクッション材を当てます。
↓当て布をかぶせます。
↓紙テープを巻いて後ろで止めます。
↓包み布がある場合はこのように人形にかぶせます。
↓古典下げ髪(垂髪)の場合は写真のように柔らかい紙をかぶせて当て布をかけるにとどめます。(髪が柔らかいので紙テープは使いません)
親王台のしまい方
↓2個の親王台をそれぞれ袋に入れ、ダンボールの親王台箱に収めます。(親王台は畳台・布張り台・塗り台等ひな人形の種類によって異なります)
人形収納箱への収め方
↓最初に、人形収納ダンボール箱の底に、今しまった親王台を入れたダンボール箱を置きます。人形収納箱の種類によっては親王台を入れない箱もあります。その場合は仕切り板も入れないで直接人形を入れます。
↓その上にダンボールの三つ折りの仕切り板を置きます。
↓写真のように、前に女雛、後ろに男雛を、同じ方向を向くように並べます。さらに作札、持ち物を入れた緑色の箱を隙間に置きます。
↓押さえ板(穴の開いた三つ折りのダンボール板)をかぶせて人形の頭を出します。
↓保存剤(または防虫剤)入れ、蓋を閉じて終了です。
参考
↓人形収納箱が桐箱の場合は押さえ板はありませんので、人形の周りには紙を詰めて動かないようにします。蓋をしてさらにダンボール箱に入れます。桐箱のほかに蒔絵箱を人形収納箱にしているひな人形もあります。
↓ひな人形セットの高床台自体が桐箱になっている場合は、写真のような感じで全ての部品をしまいます。人形の周りにはやわらかい紙を詰めて動かないようにします。写真ではびょうぶが裸で入っていますが実際にはダンボールの箱に入れます。