石川潤平作木目込雛人形 製作工程

石川潤平工房独自の制作システムは、一体一体気が遠くなるほど丁寧に製作されるため量産には適さず、インターネットで販売できない理由もここにあります。

デッサンに基づく造形

1:木目込という技法のメリットである造形の自由度を活かして、作者のめざす造形をデッサンします。

2:それをもとに実物大の立体を粘土で作り、あらゆる角度から確認します。表情や指のしぐさもここで決まります。

3:最終的に最初のイメージ通りの作品が完成します。

頭(かしら=顔)の製作工程

1:顔型に白雲土(はくうんど)の生地を流し込みます。生地を泡立てないよう気を付けます。顔型も繰り返し使用するたび摩耗し目鼻口の輪郭がぼやけますので定期的に原型から顔型を作り直します。

2:手指も顔と同じように製作します。生地を窯に入れて焼き固めます。一般の石こう頭とは違い頑丈です。

3:表面に上塗りをした後、面相書きをします。髪の生え際も等間隔で一気に書き上げます。

髪の製作(結髪)工程

1:結髪下仕事(左写真)とスガ糸植え込み(右写真)。スガは絹糸を黒く染めた伝統素材です。

2:姫下げ髪結い(左写真)と殿マゲ結い(右写真)。スガ糸の「コシ」を考慮して殿と姫で太さの違うスガ糸を使い分けています。

3:結髪完成。

胴体の生地製作工程

1:新桐塑の生地作り(右写真)気泡が含まれないように気を遣います。ボディの型に生地を隙間なく流し込みます(中央写真)。中型をはめます(右写真)。

2:底面結合の下仕事(右写真)。バリ取り(中央写真)。総仕上(右写真)。

胴体木目込み工程

1:新桐塑ボディーにスジ(溝)入れ(右写真)。衣裳の木目込み(中央写真)。ボディの総仕上げ(右写真)。

完成

仕上がったボディに頭(かしら)、手、冠を取り付けます。顔の角度も気を遣います。