けずりひ 橋本屋
こだわりのかき氷
今、かき氷といえばオシャレで豪華で色々なものが盛りだくさんのかき氷をよく目にします。
「かき氷」とWEB検索し画像の一覧を見ればそれが分かります。SNSで同様に検索してもまさに百花繚乱、パフェやケーキと見間違うほどの色彩豊かなかき氷が表示されてきます。カットフルーツが載っていたり、生クリームやエスプーマがかけてあったり、あんこや白玉が載っていたりします。非常に映えますし、目も楽しませてくれますし、とにかくおいしそうです。
それに対して当店のけずりひ(かき氷)はシンプルです。フルーツは載っていません。あんこも載っていません。エスプーマもかけていません。なのであまりインスタ映えもしません。
それには理由があります
ご存じのように、平安時代に枕草子に記述のある「けずりひ」が存在しました。これは現代のかき氷のことですが、冬に採取した氷を夏まで氷室に保存し、都まで運んで高位の貴族のみがみつをかけて食したとされる当時のたいへん貴重で高級なスイーツでした。
削った氷の、冷感・清涼感・食感、そしてかけてある「みつ」の、風味・甘味を感じた当時の人たちの感激は想像に難くありません。
この感激感動に近いものをお客様に感じていただきたく、「こだわりのかき氷」を提供しています。
1「氷」
当店では信州天然水の「純氷」を使用しています。純氷とは時間をかけて凍らせた氷のブロックで、かき氷には一番適した氷です。その氷をここでは詳しく語れませんが「ふわふわ」で「頭がキーンとならない」ように削っています。そのヒントは平安時代の「けずりひ」にあります。
2「シロップ」
かき氷の主役は氷であり、氷の食感・ふわふわ感にマッチするシロップを完全自家製で作っています。例えば「いちごミルク」であれば、いちごの風味と酸味・甘みを残しながら氷になじませる工夫が必要です。つまりいちごの果肉・繊維質などの固形分を取り除くことによって氷との一体感が生まれます(引き算の美)。そして氷の食感を変えないようそのシロップの粘度も大切です。同時にかけるミルクシロップとの相性(甘さと酸味のバランス)もまた重要になってきます。
3 「提供スタイル」
口に入れた時に氷が瞬時に溶けることがおいしさの大切な要素であると考えています。ご提供時には限りなく零度であるように作るために、かく氷は最大限高温ですから、かいたとたんに水にならないように、お皿は冷凍したものを使用しています。盛った氷の姿は、氷を手で形を整えないので富士山型になっています。整形すると食感が変わってしまうからです。お皿の下にはコースターが敷いてあります。テーブルやお盆の熱がお皿に伝わりにくくするためです。
このように、「けずりひ橋本屋」のかき氷は、豪華さをアピールした「足し算の美」のかき氷に対して、食感にこだわる「引き算の美」のかき氷です。
ここに「けずりひ橋本屋」のかき氷の存在意義があると思っています。
店内では美しいお人形を眺めながらかき氷をお召し上がりいただけます。千年の歴史を誇る日本の伝統「ひな人形」と「けずりひ(かき氷)」。この二つを贅沢にも同時に楽しむ。そんな幸せな時間を感じていただければ幸いでございます。